【CEDEC2017】テクニカルアーティストにおすすめのセッション

去年に続き、CEDECに参加してきたのでTAおすすめセッションのまとめです。

Technical Artist Bootcamp 2017 vol.1 「Automation for TA」

前半はローカルにjenkinsをたてて、このjenkinsのjobでMayaを起動して自動チェックできますよー、からの共有jenkinsに導入するフローを解説する内容。
手順が詳細に書いてあるので、jenkinsを触ったことがない方はよい資料だと思います。

後半はツール配布の自動化について。
パッケージ管理から始まり、virtualenvを用いた環境構築、さらにそれをアーティストPCで自動で行うランチャーなどに関して説明されています。
資料

Technical Artist Bootcamp 2017 vol.2 「Math for TA」

前半はロジカルビート堂前さんによるUnityのシェーダーを例にした簡単なマトリックスや内積の話。

後半はスクエニの佐々木さんによるリギングにおける回転で利用する数学の話でした。
3次元回転の様々な表現方法が紹介されており、それぞれの特徴と応用方法が分かりやすく解説されています。
資料にサンプルシーンも同梱されているので必見。
資料

Maya + Python でインハウスツールを作ろう!

前半は講演者の富田さん属するポリフォニー・デジタルにおけるPythonの活用方法について。
後半はPySideを用いたアセット管理ツールの作成方法について具体的に解説する内容になっています。
実際のプロジェクトがGitHubで公開されているので、Pythonでツールを作ったことない方もPySideを使ったことがない方も参考になりそうです。
github.com

ちなみにスライドの中でviewportのサムネを撮るためにctypesを利用されていますが、多分M3dView::readColorBufferで撮れます。
が、resizeするとクソ汚くなるのが悩み。

また、最後にpythonの高速化についても触れられています。
資料

Pixar USD 入門:新たなコンテンツパイプラインを構築する

Pixar製のシーングラフライブラリであるUSDの紹介。
以前はビルドが大変でしたが、現在は大分楽になったようです。
詳細は登壇者の方のQiitaを参照。
qiita.com

Unityのプラグインもあるのでちょっと触ってみたいところ。
資料

www.slideshare.net

アーティストのためのリアルタイムシェーダー学習法

ユニティちゃんトゥーンシェーダーでおなじみUnityの小林さんによるセッション。
ShaderForge、AmplifyShaderEditor、ShaderFXを例にノードベースのシェーダーエディタを用いてシェーダーの解説をされています。
よく使うマスクなどに関して非常に分かりやすく書いてあるので、いじったことが無い方には非常に役立つ資料になっていると思います。
資料

www.slideshare.net

ゼルダ全般

こちらは言わずもがな。
資料公開、SNS公開など不可なので詳しくは書けないですが、やるべきことを一つ一つ丁寧に対応してるなー、ツールの普及方法も利用者の使い方も上手いなーと思いました。
【CEDEC2017】「ゼルダの伝説」作成を裏から支えたエンジニアたち - GAME Watch

リアルな表情を生み出すテクスチャ表現と、豊かなアニメーションを生み出すFACSを使用したリギング

GDCで発表のあった以下の内容に加えて、FACSを用いたフェイシャルリギングに関して解説されています。
結果、FACSを用いることで豊かなアニメーション表現は出来るようになったものの不気味の谷は超えられず、今後も改善をしていくとのことでした。
資料にもありましたが、FACSのキャプチャをするには普段使わない表情筋を細かに動かす必要があるため、トレーニングが必要という話があってなかなか大変そう。

資料

RE ENGINEでのゲーム開発を支えるMacro(Plug-in)機能の紹介

RE ENGINE内で動作するpython環境に関するセッション。
分かりやすく言えばというかまさにMayaのスクリプトエディタを模して作られており、シェルフ化も出来るとのことでした。
mayaプラグイン開発の経験者が多くいたためこの方式をとったとのこと。合理的。
RE ENGINEがC#で書かれているため、C#が実行可能なIronPythonとAvalonEditを用いて作成したようです。

また、実際に作成したツールとしてRE ENGINE上の状態をmaファイルを作成、これをmayaで開いてさらにUDP通信を用いてmayaとエンジン間で選択状態を同期するようなものを紹介されていました。
UDPでmayaと別アプリ間でやりとりする方法は以前書いたこちらをご参考まで。
tm8r.hateblo.jp

資料

おわり

というわけで2回目のCEDEC。
自分が所属してる会社はTAチームができて割と間もないので、ランチャーとかそれぞれのMaya設定をあわせるための仕組みとか用意できていないのですけど、今回こういった話が数社から出てきたので、そうだよねーやっぱいるよねーという気持ちになりました。
以前のCEDECのTAの講演を聞いて参考にしていますみたいな話もあったりして、とんでもなく微力ながら自分もブログなどを通してもう少しTA業界に貢献できるといいなーと思ったりしました。

また、芸術科学会とCEDECのコラボセッションである「芸術と科学の融合とTechnical Artist」というセッションで「TAの業務の多くは泥臭いもので、評価が難しいところ。学生にも伝わりづらいのではないか」みたいな話とか、TAの職域広すぎるよねみたいな話があって、弊社でもどうしていったもんかなーと改めて考えさせられました。

このセッションでSEGAの麓さんが仰ってた「自称ではなく、チームの多くの人にTAと認められる人がTA。個人でmel書いてるだけではTAではない」みたいな話はまさにその通りで、個人で書いてるわけじゃないにしても普及までセットで上手く回さないと足りていなくて、このあたりは詳細書けないのが残念で仕方ないですがゼルダのTA事例のセッションに非常に多く学ぶところがありました。

去年の。
tm8r.hateblo.jp

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